2016年1月9日土曜日

小学校低学年からの英語教育(コメントにお答えして)

Tsuda Shokenさん、私にとっては初めての本名でのコメントをいただいて感激しています。勿論匿名でのコメントも十分に有り難いのですが、ご返事を書くときに、なんとなく留守電にメッセージを残すときのような頼りなさ感があって、やはりお名前やお写真がありますと確かな手ごたえを感じながら書くことができます。

Tsuda Shokenさんのコメント

失礼致します。
富田様は、
朝の読書と英語教育はもちろん共存できる(その1) http://tomita-archives.blogspot.jp/2016/01/blog-post_3.html にて、
「大事なこととして「間髪を入れることなく、ロケットスタートすること」と教えられた。」
「私は今もって「拙速」を非難する言葉使いが嫌いである。」
と書いておられますが、本記事では、市長のロケットスタートを暴走と非難されていて、矛盾しております。
今回の英語教育の問題点は、1億5千万円という多過ぎる予算です。しかし英語教育を積極的にしなくて良いという理由はありません。多くの小学生が民間の英語教室に通っており、学校よりも民間の教室の方が重要な役割を果たしているという現状があります。その時に、文科省の取組みが確定するのを数年間待つというのは、公共教育の役割を一部放棄していることになります。更に言うと、文科省の指導の下、数十年間日本人は英語教育に取り組んだにもかかわらず、基本的な会話すらできない人が大半であるため、文科省の指導に従順ということは、英語教育に無責任だということになります。


さて論点の一点目、「拙速」についてですが、私は今でも、おそらくは将来にわたっても「遅巧」よりは「拙速」を本領として生きていくと思います。
にもかかわらず、この英語教育に関して越直美市長の「拙速」をなぜ問題にするのかですが、それは「拙速」だから問題にしているのではありません。
ご承知のように民間企業では投資基準が明確でして、経済合理性にかなっているかどいうかが判断基準となります。つまり投資対効果がほとんど唯一絶対の基準となります。私も会社員時代に260億円のプロジェクトリーダーを任されたことがありましたが、社長決裁を得るためにすべてのエネルギーを投資回収のシミュレーションに注ぎました。
一方自治体における、特に公教育の領域においては、「将来に対する投資」の一言で済まされるようなことも少なくありませんが、これはいつにかかって、政策判断に任されるからです。言い換えれば極めて政治的な判断が優先されることが多いからです。「政治的な判断」の前では「投資対効果」も吹っ飛びます。
今回の英語教育はまさにそのような政策判断だったのでしょう。ただしそれが許されるのは限られた財政の中で、他に優先順位の高いオプションがない場合に限られます。私は「朝の読書」を充実させるために、子供たちのたっての要望であった読書環境の充実のために700万円の中古の巡回バスの購入を求めましたが、越直美市長から瞬時に却下されました。つまり政策の優先順位を教育の観点で比較衡量することなく、当時の越直美市長の「過年度継続の事業は一切予算の増額をしない」というポリシーにそぐわなかったのです。
私が言いたいことは、公共事業にあって「拙速」が許されるあるいは求めらるのは、他に優先順位の高い事業課題がなく、かつ財政が許す範囲で、最大の「拙速」を追求すべきだということです。
今回は残念ながら、他に多くの教育課題を抱えた中で1.5億円の投資をするわけですから、例えばそのうちの5000万円があればもっと教育効果の高いことができるわけで、例えばお隣の草津市で取り組まれているようなタブレット端末も導入のスタートが切れるでしょうし、中学校給食の早期実施に向けて準備ができることでしょう。
だから私は2014年の2月市議会本会議において、この英語教育のバランスを欠いた高額投資には同意できないと市長に再三告げたが聞き入れらなかったと答弁しました。
議会のある会派の議員さんたちは、その部分の予算の組み換え動議を提案してくれましたが、賛成少数で否決されました。以上が真相です。



1 件のコメント:

  1. 英語教育について、下記は議会での苦しいやりとりです。
    平成26年 2月通常会議-02月24日-34号P84

    ―以下引用―
    ◆市民ネット21(礒田英清議員) 再質問させていただきます。
     まずはじめに、市長への質問でございますけれども、私は市長が意図的にコンプライアンス違反をしたという指摘をしているのではございません。しかし、制度改革や英語教育に対する思いが余りにも強く、結果として教育委員会に対して過大な要求をしたり、逆に規制をされたりしているのではないかという、謙虚に自分を振り返るように求めるものでありますけれども、善意の押し売りになってはいないかどうか、改めて市長の考え方をお聞きしたいと思います。

    ◎越直美 市長  先ほどお答えしたとおり、コンプライアンス上の問題はなく、善意の押し売りはしておりません。
     以上でございます。

    ◆市民ネット21(礒田英清議員) ありがとうございます。
     私の考え方と見解の相違が大きくございますので、別の立場の教育長よりお伺いをしたいと思います。私は市長と教育委員会との関係について質問しているものであります。もう一方の当事者である教育長の見解を改めてお伺いをしたいと思います。
     市長は教育委員会委員との連携を図っており、越権行為はしてないとの認識でありますけれども、教育委員会としてはどのようにお受けになっているのか、お伺いをしたいと思います。
     以上。

    ◎富田眞 教育長  再質問にお答えいたします。
     特に、今回の予算編成の審議は、私にとっては最初でありました。特に、この英語教育につきましては、教育委員を含めまして、全教育委員が参加した協議は3回行いました。その中で出てきた懸念点がいくつかありまして、その協議会の中では、英語だけに突出した予算措置に対する疑問、それから特に文科省が英語の新課程を前倒しで実施するとしている中で、大津市が今独自に小学校の英語カリキュラムを今する必要があるのか、あるいはまた文科省のできてくるカリキュラムとの整合性はどうなるのか、それから何よりもインターネットの活用ということで市長が強くそのことについて実施したいというお話がございましたが、その内容が不透明の中で、そこに多くの予算を投入することへの懸念、こういったようなことが私を含めて教育委員から出されました。また、市長がこのような予算を作成するに当たって、教育委員会の職員を使って御自身の意に沿うような金額あるいは内容ということで何度か繰り返しその資料作成を図ってきたわけでありますけれども、その都度私はもちろん報告を聞いておりましたけれども、大変困惑してたということがございます。市長は大変強い思いでそのようにされてきたと思いますし、もちろん私も英語教育の充実を図っていかないといけないという思いは共有しておりますけれども、こういった懸念点がございました。なかなか協議というのは、市長は予算権を持たれていますので、最後予算権は私ですというふうに言われますと、そこから先なかなか協議が進めないということが、そこに必ず行き当たりまして、政策論議よりなかなかそこから先の協議が難しいというのが実際でございます。といったようなことで、最終的には今月2月の定例の教育委員会でもこの予算要求に対する審議を行いまして、一括して審議を行いましたけれども、私はその中でこの本件、教育委員会が提案させていただいている予算の中で、この英語教育の部分については、こういったような、先ほど上げたような理由もあって同意できないといったことを申しました。市長もそのような発言をそれまでの教育委員との協議の中で述べられておりましたので、この思いは他の教育委員も共有しております。ただし、予算案全体としては、多くの予算案の中の1件でございますので、やむなく賛意を得たというのが経緯でございます。結論的には市長の強い思い、またマニフェストを背景としての思いというのは理解しますし、英語のことについても必要なことですけれども、このような突出して、しかも文科省とのカリキュラムの調整がどうなるか、あるいはインターネットは極めて不透明だという、こういう疑念点が多くある中での多額の予算というのには大変疑問を持っていると。しかし、予算権ということで、協議と言いますけれども、なかなか実質的には協議が、その中身についての協議は難しいというのが私の捉え方でございます。
     以上です。

    ◆市民ネット21(礒田英清議員) ありがとうございます。
     今双方からお話をお聞きいたしまして、いろいろと感じるものが私にございます。受け取り方の差というのは埋まっていないというふうに感じております。そこで、茂呂副市長にお聞きします。実は先ほど申し上げましたように、質問の中でも入ってますように、教育委員会を担当する副市長として、市長を補佐して教育委員会との連携を円滑に進めるという役割をお持ちのことだと思いますが、その辺についてその立場から今の市長と教育長の答弁を踏まえ、どのようにして認識しているのか、そして正直なところ、きっちりとした質問に対して答えが欲しい、このように思いますんで、よろしくお願いします。

    ◎茂呂治 副市長  再度の御質問にお答えいたします。
     現在教育委員会制度の改革について国で盛んに議論されておりまして、その一つのきっかけが本市での出来事であるという指摘がございます。私はこれは本質論からはやや離れた見方だと感じておりますが、少なくとも社会現象のレベルにおいては事実そのとおりでありまして、こうした事情も背景にあって、市長としては、特にこの教育委員会の制度改革に寄せる思いが大変強うございます。まずはこの点について御理解をいただきたいと存じます。
     しかしながら、仮に明日ルールが変わるといたしましても、今日は今日のルールを守るべきでございます。特に、地方公共団体において統括代表権を有する市長には、十二分に慎重な態度が求められていると私は感じております。とりわけ地教行法の第29条では、予算権、条例提案権を持つ首長においては、教育委員会の意見を聞かなければならないという趣旨のことが定められておりまして、このことは私ども執行部が教育委員会との協議に臨む際に十分に耳を傾ける基本姿勢が重要であるというふうに感じております。一方で、教育委員会でありますが、富田教育長は市長の要請を受けられまして就任されて以来、他の教育委員と力を合わせて職員の心をしっかりとつかんで教育行政の推進に力を尽くしてこられたと思っております。市長と教育委員会とが大津の子どもの幸福という一つの目標に向かってさらにしっかりと連携をしていけるように、私副市長として微力ではありますが、しっかりと市長を支えてまいりたいと思っております。
     以上でございます。

    ―引用終わりー

    水戸黄門の印籠のごとく「予算権は私です」で幕引きとは、一種のパワハラ!?


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